「そう言えば銀座で程、ボオドレエルの詩に出てくる秋を、身に染みて感じたことはない」英文学者の吉田健一の言葉だ。「やがて冷たく暗い季節がやってくる 短かった夏の光よ さらば…」(ボードレール「秋の歌」より)
銀座を歩くとよく外国の香りを感じる。
「銀座マロニエ通り」の並木トチノキは、パリの街路樹として知られている。
今年で100歳の誕生日を迎える「三越のライオン像」はロンドンのトラファルガー広場にあるのがモデルだとか。
銀座の街のシンボル「和光の時計塔」が奏でる時報は、ロンドンの「ウエストミンスター」の鐘の音と同じである。
銀座はまた「橋」に囲まれた街だ。外堀に架かっていた「数寄屋橋」や「京橋」。いまは道路になっているが築地川に架かっていた「三吉橋」や「釆女橋」。「土橋」や「新橋」。もともと埋め立て地にできた街だから「水」とは馴染みがあるが、これってベネチアみたい。
銀座は「江戸の伝統」と「西欧の文化」と「最先端の商品」が生き生きと並んで、いまも発展している街なのだ。