富山県高岡市には、400年ほど前に加賀藩の日用品づくりから始まった「高岡銅器」「高岡漆器」に代表される多くの伝統工芸があります。その技術は「釣鐘」「仏具」の製造に受け継がれ、近代技術の発展とともに大手サッシメーカーなどの産業にも繋がっている全国有数の工芸地域です。
高岡市は「新クラフト産業・デザインの育成」「伝統工芸の保存・継承」「デザイン・工芸の啓発・普及」を目指し、代表的な活動として1986年から「工芸都市高岡クラフトコンペ」を実施しています。このコンペは、若手クラフトマンにとって登竜門としての役割を担うと同時に、2011年からは、今までのクラフトとしての「コンテンポラリークラフト」に加え、市場に流通することを念頭に置いた「ファクトリークラフト」という新たなジャンルを構築し、これからの「クラフト+デザイン+産業」という新たな価値観を模索中です。そしてここ数年、新たな試みとして「クラフツーリスモ」「クラフトマンズギャザリング」「デザインマッチング」等、地域の活動を伝える前向きな試みも行われています。
ただ、こうした活動を行っている高岡でも、価格優先のグローバル化の影響も大きく、各々が独自のヴィジョンを構築することを迫られている状況です。今回は、全国的に衰退している「ものづくり」の状況下、ひとつのケーススタディとして、ぜひとも高岡のクラフトを多くの方々に伝えたいと考えます。
高岡で生み出されたクラフト作品を一堂に展示する企画展です。ご高覧ください。
会場では、コンペの入賞作品と優秀作品を展示&予約販売するほか、高岡のクラフト・デザインを支える作り手たちやコンペの29年間の歴史を紹介します。また、関連企画として、高岡市内の伝統工芸企業で新たなデザインにチャレンジする天野漆器株式会社、株式会社山口久乗の販売コーナーも設置されます。
デザインギャラリー1953を中心に展開する高岡の姿を多面的にお楽しみください。