株式会社鴨安商店の片口いわしを使った「いわし桜干」が「茨城おみやげ大賞・最高金賞」を受賞したことを機に茨城のアンテナショップとして東京都中央区銀座に店舗を構える「茨城マルシェ」で取り扱いを始めました。
この「いわし桜干」は昭和57年の第21回農林水産祭の天皇杯を受賞したひとつひとつ手作りの伝統の一品です。
原料の「片口いわし」は近年漁獲が減少しており、その中でも桜干に最適な「無脂」といわれる身質で、ごく一時期しか獲れないとても貴重なものを使用しています。
「桜干」の名前の由来は
1.原料のマイワシは、桜の季節である3月~4月のものが脂肪が少なくみりん干に最適とされ、冷凍技術の無い頃はこの時期が製品の最盛期であったことから
2.魚を開いて干したそのかたちが桜の花びらに似ていることから
3.桜の如く花開くように(末広干の名称にも一致する)広がるようにと生産者の願いを込めて
とされています。
【桜の時期のいわしとは?】
いわしの旬はいつ?と聞かれると、まず真っ先に思い浮かぶのは脂がたっぷりのった丸々とした「入梅いわし」といわれる6月~7月の「まいわし」が思い浮かびます。
しかし、「春鰯」と季語に謳われるように桜の咲く春も「いわし」の旬であるといわれているのですが、この季節のいわしはあまり脂がのっていません。では、なぜ旬なのでしょうか?
今でこそ冷凍技術や流通も発展し、新鮮な魚が食卓に上るのが当たり前の時代ですが、昭和初期まではどの時代も生の魚を食べられるのは寒い真冬の時期か、産地に近い沿岸地域等に限られたものでした。
庶民の食卓に上る魚は保存性を高めた干物や佃煮が主で、保存がきいて数日たっても食べられるのが流通する上で大前提であったと言えます。
こういった保存性のある干物を作る際に重要なのが脂の無い無脂といわれる身質です。
冷凍冷蔵技術の無い時代は脂の乗った魚を干物や佃煮にしても常温では数日たつと脂が酸化してとても食べられたものではなかったのです。
ただでさえ「弱い魚」と書くいわしです。そんな弱りやすい「いわし」を何とか食べようと、昔の人たちは知恵と工夫で干物などにして流通させてきました。そしてこの春の3月~4月、桜の咲くこの時期の脂の少ないいわしが保存のきく干物として最適だったのです。
当然ながら庶民の多くの人たちが最もいわしを口にするのがこの季節で、この時期に獲れるいわしが「旬」な理由がここにあるといえます。
今でも脂の少ない目刺しなどを火でさっと炙って熱々を頂くと本当においしいと思います。
かの平安の歌人、紫式部も大のいわし好きで知られ「日の本にはやらせ給ういわしみずまいらぬ人はあらじとぞ思ふ」といった句を詠んでいます。もしかしたら、桜の咲く時期に読んだ句かもしれません。
鴨安商店の「桜干」は焼いた後、冷めても美味しくいただけるので、ご家庭で焼いたものをお花見にお持ちになって、ぜひ桜の下で召し上がってみてください。一句浮かぶかもしれませんね。
【購入先】
桜干(4/4判 1枚) 1袋 216円(税込)
茨城マルシェ
東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F
TEL:03-5524-0818
【JR】山手線「有楽町駅」から徒歩約3分
【東京メトロ】有楽町線「銀座一丁目駅」から徒歩約1分
丸ノ内線・日比谷線・銀座線「銀座駅」から徒歩約4分