やわらかい食感、脂の風味、そして上品な甘み。
こちらの牛肉の握り(左がサーロイン、右が内もも肉)には、そんな旨みが溢れんばかりに詰まっています。それもそのはず、こちらは食肉格付けA5ランク・BMS No.12の最高ランクを獲得したお肉なのですから。
しかしこちら、ただの高級牛肉ではありません。なんと、焼肉レストランを経営する株式会社トラジ(東京都江東区・代表取締役社長 金信彦)が立ち上げたグループ農場で育った自社ブランド牛なのです。
この自社ブランド牛が初出荷を迎えるにあたり、先日、焼肉トラジ新橋店でお披露目会が開催されました。お披露目会では自社ブランド牛誕生のエピソードを伺いましたので、その内容をご紹介いたします。
今回初出荷された自社ブランド牛。これが最高ランクの霜降りなんですね…。
「6次産業」という言葉があります。6次産業とは、農産物などの生産(第一次産業)から食品加工(第二次産業)、そして流通・販売(第三次産業)までを1つの業者がおこなう取り組みを指します(1次事業×2次事業×3次事業=6次事業)。
トラジは、安心安全と美味しさを届けたいとの思いから、6次産業へ参入し、生産から店舗での提供までを一貫して自社でおこなうことを決め、2015年10月に関連会社のトラジ・ファーム(埼玉県児玉郡・代表取締役 崔光錫)を立ち上げました。
しかし、当初は社内でも実現を疑問視する声が上がっており、異業種からの牧場経営は難しいのでは? コスト面での採算は? 品質は確保できるのか? など、様々な懸念が出ていたそうです。
牧場経営のヒントを得るべく相談する畜産関係者にも「1から始めるのは難しい」と難色を示され、困難が続きました。
そんな中、東京農業大学のある教授に紹介された塚田農場との出会いにより、農業経営が本格化していきます。2016年1月には、第一号、第二号となる牛を購入すると、太郎、次郎と名付け、肥育を開始しました。
ちなみにトラジ・ファームではすべての牛に名前が付いているそうで、耳に穴が開いている牛はピアス、イケメンの牛にはディーンという具合。牛を大切に扱うための取り組みです。さらに、店舗でも牛肉を大切に扱うよう、トラジの従業員が農場へ牛の世話をしに行くこともあるそうです。
牛を大切に扱うこだわりはこれだけではありません。通常、10頭ほどが入る牛舎の柵の中でも、トラジ・ファームでは5頭しか入れておらず、牛へのストレス対策を実施しているほか、なんと牛がリラックスできるようモーツァルトのクラシックを流しているのだとか。
エサやりの際は機械は使わず、手作業。エサやりと同時に体調チェックをおこなっています。
こうして大切に育てられた自社ブランド牛がA5ランク・BMSNo.12を獲得し、この9月に商品化が実現します。
残念ながらまだ2頭のみの出荷のため、大々的な展開時期は未定のようですが、安心安全で尚且つ美味しいトラジのブランド牛に、是非注目してみてはいかがでしょうか。