うちのイチオシ!「アパルトマン301」

ヨーロッパの片隅にあるアパートメントをイメージした店内は二部屋に分かれる。301号室は芝居好きな女の子が住む赤いキッチュな部屋をコンセプトにしている。全面喫煙化。

このコーナーでは、お店や施設の「イチオシ!」のモノ、人、場所、こだわりなどのお話をお伺いしていきます。


今回、訪問させていただいたのは「アパルトマン301」さんです。

銀座1丁目から歩いて3分。古いビルの階段を上がり、鉄格子の扉を開けると、そこにはまるで絵本の中のようなフォトジェニックな空間が広がっている・・・。

「アパルトマン301」は、レトロな雰囲気が特徴的な隠れ家カフェ。

ヨーロッパのアパートメントをイメージした内装、手作りの料理や多彩なスイーツが女性を中心に人気を博しています。

お話を聞かせてくださったオーナーの五味美貴子さんは、現在都内にて12店舗のカフェを経営。その他にプロデュースや期間限定カフェを含めて現在までに約40店舗のカフェのオープンに携わってきた、カフェ経営のスペシャリストです。

今回は、五味さんに異業種からカフェ経営に至るまでのお話や、「アパルトマン301」のイチオシポイントをお伺いしました。カフェ経営に興味のある方も必読です!

オーナーの五味 美貴子さん

オーナーの五味 美貴子さん

 




カフェを始められたきっかけを教えてください。

前職はシステムエンジニアだったのですが、その頃は夜間作業でなかなか家に帰ることができませんでした。犬を飼い始めたのですが、一緒に過ごす時間もないくらい。もっと犬と一緒にいたい、人と話すのが好き、美味しいお料理やお酒が好き・・・そんな自分の「好き」を集めたらドッグカフェという形が見えてきたんです。その後、縁あって西麻布でカフェを開業しました。

なぜ西麻布だったのでしょうか?

西麻布のお気に入りのカフェがあったのですが、そこのオーナーが経営から手を引かれることになったので、後を引き継ぐ形でドッグカフェを始めました。3年ほど経ったころ、渋谷でも「attic room」というカフェを開業し、そこで手ごたえを感じたので多店舗展開を決めました。

多数のカフェを経営されていますが、何か秘訣はありますか?

一般的にはカフェのコンセプトを固めてから物件を探しますが、私は逆に、エリアだけ決めて物件を探して、その物件からひらめきを得てコンセプトを作り上げていきます。純粋にそこでどのようにお客様を楽しませることができるのかを考えますね。

そのエリアをどのような方が利用しているのか、物件の前の通りに立って雰囲気を感じたりはしますが、あえて開店前には下調べはしません。あくまで“こびない”店づくりを貫いています。

また、家賃を安く抑えられる好立地悪条件の物件を借りることが多いです。

店内は2部屋に分かれており、301号室は芝居好きな女の子が住む赤いキッチュな部屋をコンセプトにしている。全面喫煙可。

店内は2部屋に分かれており、301号室は芝居好きな女の子が住む赤いキッチュな部屋をコンセプトにしている。全面喫煙可。

 

302号室は、301号室の隣に引っ越してきた男性の部屋と想定。こちらは黒を基調としており、ソファを多めに配置してゆったりした雰囲気を演出。全席禁煙。

302号室は、301号室の隣に引っ越してきた男性の部屋と想定。こちらは黒を基調としており、ソファを多めに配置してゆったりした雰囲気を演出。全席禁煙。

こちらの店舗も立地がとてもいいですね。

この物件に決まるまで半年ほどかかりましたが、粘り強く交渉を続けました。

3階の店舗までは階段しかありませんが、立地はとてもいいですよね。また、もともとここのビルは飲食店の入居はNGでしたが、たまたまオーナーの方が私の経営するカフェをご存じで「そのようなカフェなら入居してもらいたい」ということで借りることができました。

「アパルトマン301」が3階に入るビル。銀座駅・有楽町駅から至近ながらも、階段のみなどの条件から家賃は比較的安めに抑えることができる

「アパルトマン301」が3階に入るビル。銀座駅・有楽町駅から至近ながらも、階段のみなどの条件から家賃は比較的安めに抑えることができる

銀座というのはどのような街でしょうか?

私が大学生のときから、銀座はいつもは買えないものが買える、特別な街というイメージ。歩く時の服装にも気を使って・・・。「頑張ったときに来る街」という感じでしたね。

また、西麻布でカフェをしていたときに周辺店舗のオーナーさんたちがみなこぞって次の店舗を銀座に出していました。そのため、銀座という街に出店することは憧れでもありました。

普段どのようなお客様が来店されますか?

おしゃれが好き・食べるのが好きで生活を楽しんでいるような女性が中心ですが、男性のお客様も増えています。カフェという業態は間口が広く、ケーキとコーヒーだけのカフェもありますが、当店のポイントとしてはお食事をがっつりととれてお酒を楽しむことができるというところが挙げられます。

銀座というとエレガントなイメージがありますが、当店は特に女性向けのメニューを意識してはいません。ボリュームのある料理に満足された男性のリピーターも多いですね。また、ランチメニューは週替わりで用意しているのでバリエーションを楽しんでいただけると思います。

イチオシ!ランチメニュー

焦がしモッツァレラとフレッシュトマトの特製ハンバーグステーキスープ、サラダ、ライス、ドリンク(平日のみ)、スイーツ付 1300円(税込)

焦がしモッツァレラとフレッシュトマトの特製ハンバーグステーキ
スープ、サラダ、ライス、ドリンク(平日のみ)、スイーツ付 1300円(税込)

当初は週替わりメニューとして提供していたものの、非常に人気があったためにランチのレギュラーメニューとなった一品。

牛脂をまとわせているのでふっくらとジューシーに仕上がっています。モッツァレラチーズがたっぷりとトッピングされており、ハンバーグにまろやかさが加わります。男性でも大満足のボリュームが魅力です。

五味さんにとって、カフェ経営とは?

私にとってはライフワークという、趣味の延長でお店が増えていったように感じています。

カフェ経営は参入障壁が比較的低く、おしゃれなイメージがあることから多くの方が開業を望まれています。ただ、実際にはカフェ経営もビジネスですし、コストと利益を考えながら出していかなければならないというシビアなものです。

はじめのうちは私も1日の労働時間が15時間ほどであったり、休憩を取れないまま働くことがあったりしたので、体力も必要ですね。

それでもお客様のとの出会いは一期一会。自分の体調等を理由にお客様に暗い顔を見せることはできません。毎回フレッシュな気持ちでお客様を迎えることが大事です。

何より持続力が必要ですので、こつこつと続けていくことのできるような、律儀な方がカフェ経営に向いているのではないかと思います。


今回の「うちのイチオシ!」では、お店をご紹介いただくのみでなく、カフェ経営全般にわたるお話を伺うことができました。

自分の「好き」を突き詰めて形にしてゆくというところから始まった五味さんのカフェ経営。今回のお話からはビジネスのシビアな一面を伺い知ることができましたが、なによりも五味さんが楽しみながらお仕事に取り組まれているという印象を強く受けました。

五味さんのこだわりがたっぷりと詰め込まれたカフェ、「アパルトマン301」。

お茶だけでも、しっかりとお食事をしたいときでも様々なシチュエーションで利用することができますので、銀座にお越しの際はぜひお立ち寄りください。


五味さんはカフェ運営のノウハウを詳しく解説した著作も発表しています。カフェ運営についてもっと知りたい方はご一読ください。

『古民家カフェを開こう 』(KADOKAWA、2016年)

『古民家カフェを開こう 』(KADOKAWA、2016年)

Top