【パナソニック汐留美術館】
「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」に行ってきました

2020年1月11日(土)~新橋のパナソニック汐留美術館にて、「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」が開催されています。
先日、この展覧会に行ってきました。
この記事では、モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展のみどころ、注目作品、混雑状況を載せていますので、ご覧ください。


 

モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展 4つのみどころ

 

展覧会のみどころは、4つあります。

 

1.暮らしの夢を託した名作椅子が集結!

 

井上房一郎、ブルーノ・タウト、アントニン&ノエミ・レーモンド、剣持勇の籐丸椅子、ジョージ・ナカシマの͡コノイド・チェアなど、日本のモダンなライフスタイルに最適なデザインを追求した約35点の名作椅子を展示しています。

 

2.日本に工業デザインの基本を初めて教えたブルーノ・タウトによる工芸品を展示

 

日本人にデザインの基本的な考え方を初めて教えた、ブルーノ・タウト。
その教えは、椅子や照明器具などの生活用品の量産に、お手本となる原型を作るというものでした。
展覧会では、タウトが工業生産を行う前の、日本の素材と手工を生かして作った工芸品を展示しています。

 

3.木造住宅をモダンなものに押し上げた憧れのレーモンドスタイルに出会える

 

日本のモダニズム建築の祖、アントニン・レーモンドは、チェコに生まれ、アメリカと日本で生活しました。
展覧会では、妻ノエミとの協働でライフスタイルを提案した作品をご覧になれます。



 

4.日本の伝統的空間をモチーフにデザインした会場の展示空間

 

数々の建築展に携わり、昨年(2019年)の日本建築学会賞(文化)を受章した、前田尚武氏が、柱・梁・床で構成した日本の伝統的空間を元に会場構成を手掛けています。

 

各章の紹介と注目作品

 

第1章 ブルーノ・タウトと井上房一郎たち「ミラテス」を中心に

 

この章では、ドイツで活躍していた建築家ブルーノ・タウトが、ドイツの政治情勢を憂慮して日本に亡命していた時代(1933年~)に、実業家 井上房一郎(ふさいちろう)が銀座と軽井沢に開店した伝説の家具工芸展「ミラテス」で扱ったタウトデザインの生活用品や『画帖-桂離宮』(1934年)などを展示しています。

 

●ブルーノ・タウト 「旧日向別邸」

ブルーノ・タウト「旧日向別邸」1936年、撮影:斎藤さだむ

 

ブルーノ・タウトが施工した、日本で唯一現存する建築物です。
椅子、テーブル、行灯型照明具など、タウトが日本の灯芯やろうそくを用いた伝統的な照明器具の技術や素材を用いて、和洋折衷のデザインを考案したものです。
部屋は、社交室、洋室、和室の3室の構成となっています。
和洋折衷ながら、不思議と統一感があります。
奥行きの感じられる建築空間は、桂離宮をモチーフに設計したといわれています。

 

第2章 アントニン&ノエミ・レーモンド

 

この章では、ブルーノ・タウトの他に実業家・井上房一郎と深い親交のあった、アントニン・レーモンドとその妻、ノエミ・レーモンドの「笄町自邸(こうがいまちじてい)」と「井上房一郎邸」「新スタジオ」といった代表作や手書きの美しい図面、家具などを多数展示しています。

 

●ノエミ・レーモンド 《帝国ホテル「孔雀の間」のための装飾習作

ノエミ・レーモンド 《帝国ホテル「孔雀の間」のための装飾習作》1920年、北澤興一氏蔵

 

フランク・ロイド・ライト事務所で働いていたレーモンドが、フランク・ロイド・ライトと共に助手として来日した時に、帝国ホテル宴会場孔雀の間を描いたものです。
色彩豊かな孔雀が描かれ、2次元のデザインが、3次元の建築空間に深みを与えています。

 

第3章 剣持勇の「ジャパニーズ・モダン」

 

1933年、勤務先の商工省工芸指導所に顧問として招かれたブルーノ・タウトに師事した剣持勇。
この章では、デザイナーとして独立した剣持の家具のデザインから、建築家と協働したアートを取り入れた後年の大規模プロジェクトなどを展示しています。

 

●剣持勇 《柏戸椅子T-7165》

剣持勇 《柏戸椅子T-7165》1961年、松戸市教育委員会蔵

 

どっしりとした個性的な椅子の存在感が目を引きます。
ゴツゴツとしているように見えますが、深みと幅のある椅子の座り心地は良さそうです。

 

第4章 ジョージ・ナカシマと讃岐民具連

 

日系二世アメリカ人のジョージ・ナカシマ。
アメリカとフランスで建築を学んだ後、1934年から5年間東京のレーモンド建築事務所に勤めますが、のちに、家具作りに転向します。
この章では、ナカシマが着想から最終的な製品化に至るまでの全工程を管理した、彫刻的な家具や高松の「讃岐民具連」に参加した際に制作した、ミングレンシリーズなどを展示しています。

 

●ジョージ・ナカシマ「コノイドスタジオ外観」

ジョージ・ナカシマ「コノイドスタジオ外観」1957年 Courtesy of Nakashima Foundation for Peace

 

1943年、レーモンド夫妻のニューホープの農場に一家で迎えられ、その土地の敷地内に作ったスタジオです。
スタジオ内には、椅子、テーブル、ベンチなど、木を素材にした家具が並んでいます。
スタジオの外も樹々に囲まれ、まるでオアシスのようです。
作品の近くに記されたジョージ・ナカシマの「我々は木と喜びや悲しみを分かち合うための手がかりを探し求めているのである」
という言葉も深く心に染みました。

 

第5章 イサム・ノグチの「萬來舎」とあかり

 

詩人の野口米次郎とアメリカ人の母の間に生まれ、2つの国から自分のアイデンティティを探し求めていたイサム・ノグチ。
この章では、1950年代前半の日本におけるイサム・ノグチの制作活動とその作品を展示しています。

 

●イサム・ノグチ《あかり33S(BB3スタンド) 》

イサム・ノグチ《あかり33S(BB3スタンド) 》1952年頃、飛騨・世界生活文化センター蔵

 

提灯をモチーフに和紙と竹で作られた照明彫刻です。
その独特なデザインと和紙に照らされた仄(ほの)かな柔らかい灯は、私たち日本人に安心感を与えてくれます。

 

 

モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展 混雑状況

 

私が行った日は、平日の午前中でした。
展覧会が始まってすぐの10:00頃に訪問したため、そんなに混雑せずにすんなり回れました。
正午に向かうにつれて、徐々に人数は増えてきましたが、そこまで混雑していなかったので、
展覧会に行くなら、午前中がおすすめだと思います。
グッズコーナーもプログラムや建築物のミニチュア、ポストカード、書籍等が充実しているので、午前中に来館してゆっくりご覧になってはいかがでしょうか?

 

まとめ

 

パナソニック汐留美術館にて開催されている、「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」について、お伝えしてきました。
日本の新しく上質な暮らしを追求した、海外の建築家とその影響を受けたデザイナーたち。
作品の数々に触れることにより、彼らの想いを感じることができるのではないでしょうか?
その作品たちが、現代を生きる私たちの暮らしにどのような影響を与えているのか、に想像を巡らせてみても楽しいかもしれません。

現在、開催中の「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」は、3月22日(日)まで。
ぜひ、終了前にお立ち寄りください。

※パナソニック汐留美術館は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2月29日(土)から3月15日(日)までの期間、臨時休館しております。それ以降のスケジュールについては、パナソニック汐留美術館ホームページにてご確認下さい。

 

施設情報

 

開館時間
10時から18時まで(ご入館は17時30分まで)
休館日
水曜日
入館料
一般:800円/65歳以上:700円/大学生:600円/中・高校生:400円/小学生以下:無料
※20名以上の団体は100円割引
※障がい者手帳をご提示の方、
および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
お問合せ
03-5777-8600(NTTハローダイヤル)
公式HP
https://panasonic.co.jp/ls/museum/
公式フェイスブック 
https://www.facebook.com/shiodome.museum/

 

 

 

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