銀座のお店や施設に、イチオシのモノ、人、場所、こだわりを伺っていくコーナー【うちのイチオシ!】。
今回訪問させていただいたのは、ティーポットの中で美しく花が咲くお茶、工芸茶を販売されている「工芸茶専門店 CroesuS(クロイソス) 銀座本店」(以下、「クロイソス」)さんです。
東京メトロ銀座駅、A3出口より徒歩5分ほど。中央通りを新橋方面に進み、「モンブラン 銀座本店」や「資生堂パーラー 銀座本店」のある交差点を左折した先で店舗を構えています。
◆【工芸茶】ってどんなお茶?
中国発祥の工芸茶。
茶、と名前についていますが、緑茶やウーロン茶のようにお茶そのものの種類というわけではありません。
工芸茶は、中国茶の茶葉を一枚ずつ糸でまとめながら、中に漢方効果のある本物の花を入れるなど、細工・成形してつくられたもの。使用される茶葉に決まりはなく、白茶ベース・緑茶ベース・紅茶ベースなどなど、さまざまな種類があるそうですよ。
言葉で説明するより実物を見たほうがわかりやすいと思いますので、こちらの画像をご覧ください。
「えっ、何が起きたの!?」と驚かれた方もいるのでは。(実は筆者もその一人……)
小さく固められた茶葉をお湯の中に入れることで、まるで花が咲くようにほころんでいく。味や香りだけではなく見た目にも楽しめるとあって、特別な日の演出にはもちろん、贈りものにも大活躍のお茶です。
このようにきれいに咲いた工芸茶は、水に移し替えれば1週間ほど水中花としても楽しめるそう。思わず人に教えたくなるようなスペシャルな存在、それが工芸茶なのです。
◆工芸茶の考案者・汪先生の商品を扱っているのは「クロイソス」だけ――店長・泉さんにインタビュー
今回は、常時100種類以上の工芸茶を専門に取り扱っている「クロイソス」の店長・泉さんにお話を伺いました。
まるで伝統工芸品のような雰囲気をもつ工芸茶ですが、意外にその歴史は浅く、誕生したのは1986年と最近のこと。主に外交用の献上品として使われてきた経緯から、泉さんによれば、本場中国でも存在そのものを知らなかったり、花茶やジャスミン茶と混同したりと、なじみのない方が少なくないとか。
「クロイソス」さんには、銀座観光中に興味をもってお店を訪れる中国人のお客様も多いそうですよ。
――店内を拝見していますと、商品が工芸茶(スタンダード)と康藝銘茶(プレミアム)の2種類に分けられているようですが、康藝銘茶についてご説明いただけますか?
泉さん:
工芸茶の考案者で、安徽省の黄山で工房を構える汪 芳生(おう ほうせい)という方がいます。彼の工芸茶は、見た目の芸術性が優れていることはもちろん、無公害の天然素材のみを使用して健康にも気を配っていることから、康藝銘茶(こうげいめいちゃ)と呼んで他と区別されているんです。
――味や見た目にはどのような特徴があるのでしょうか?
泉さん:
緑茶は中国十大銘茶のひとつである黄山毛峰、紅茶は安徽省の名産であるキーマン(祁門)の特選茶葉だけを使っていること。また、お湯に入れる前の工芸茶は丸型が一般的ですが、汪先生の康藝銘茶は実に多種多様で、ユニークな動物モチーフが多いのも特徴ですね。
今では中国各地でさまざまな工芸茶がつくられていますが、康藝銘茶に限っては、日本では弊社のみが直接取引している状況で、品ぞろえも康藝銘茶が中心です。
ただ、康藝銘茶とその他の工芸茶、どちらがいいというものではありません。工芸茶は見た目が華やかなものが多いので、ギフト用におすすめすることが多いですし、当店の一番人気の商品も工芸茶(スタンダード)の一つです。贈られた側も非常に喜ばれた、というお話をよく聞きますね。
◆【うちのイチオシ!】は千日紅とジャスミンのアーチがかわいい『オーバーザレインボー』
ここで泉さんに【うちのイチオシ!】商品として、一番人気の商品『オーバーザレインボー』(税込360円)をご紹介いただきました。
ベースは緑茶。黄色い金盞花の上に、赤い千日紅と白いジャスミンのアーチがかかります。実際にお茶をいれていただいたので、その様子を動画でご覧ください。
※動画は短く編集しています。自然光が入っているため、動画内で色合いが若干変化していますがご了承ください。
ポンッ! と花が飛び出した瞬間はかなり胸が躍りました。徐々に茶葉が開いていく様子に、じっくりと見入ってしまいます。
この癒しのひとときが工芸茶の魅力なんですね。
お味はやわらかく、ほのかな花のニュアンスが鼻腔を抜けて非常に爽やか。ハーブティーのような雰囲気があり、個人的にはスイーツと合わせたくなりました。
【泉さん直伝!工芸茶を上手にいれるコツ】
1.ティーポットに茶葉を入れたら、ポットの8分目くらいまで熱湯を注ぎます。よく中国茶は70-80度くらいが最適といわれますが、工芸茶の場合は熱湯でないと茶葉の開きが悪くなるそう。
2.ティーポットにフタをして10分ほど置きます。中国の緑茶は日本の緑茶と比べて渋みが少なくあっさりしているので、10分と長めに置いて茶葉の風味とコクを引き出すくらいが日本人にはちょうどいいのでは、と泉さん。温度も下がって飲みごろになります。
◆気分が落ち込んでいる方々に、工芸茶で心安らぐひとときをお届けしたい
――安らぎの時間をありがとうございました。『オーバーザレインボー』は、味わいの中にもしっかり花の存在感がありましたが、味の主張が強い花というのはあるのでしょうか?
泉さん:
主張が強いのは菊ですね。クセになるのか、菊を使った工芸茶ばかり繰り返し購入されるお客様もいらっしゃいます。かくいう私も、味でいうなら貢菊(こうぎく)のニュアンスが感じられる康藝銘茶『花芯牡丹(かしんぼたん)』(税込210円)がお気に入りです。
――工芸茶は使い終わった後に水中花として鑑賞できるというのもステキですよね。これほど美しいならできるだけ長く飾りたいものですが、長持ちさせるコツはありますか?
泉さん:
コツとは少し違うかもしれませんが、長く飾りたいのであれば、色が抜けづらいマリーゴールドなどの黄色い花を選ぶのがいいかもしれません。千日紅などの赤い花は色褪せが早いので。
――そうなんですね! 覚えておきます。
先ほどから気になっていたのですが、使用されていたガラスのティーポットもフォルムが非常にかわいらしいですね。
泉さん:
ありがとうございます。当店オリジナルのティーポットで、ディスプレイはしていませんが実は茶こしも透明なガラス製なんです。全身が透明のティーポットって探すと意外とないもので、雑貨店や飲食店の方がティーポットだけ買わせてほしいといらっしゃることもあるんですよ。
ちなみに工芸茶をいれるときは、透明度の高いティーポットを使用してほしいのはもちろんですが、サイズが小さいとせっかくのきれいな形が崩れてしまいます。ある程度の高さがあるものを選ぶのがおすすめです。
――いろいろと丁寧に教えていただきありがとうございました。
最後に、読者へ一言お願いします。
泉さん:
コロナ禍で気持ちが落ち込んだり、疲弊したりする方も多いのではないでしょうか。こんな時期だからこそ、心も体も休まるような時間を少しでもつくってほしい、という思いでおります。オンラインショップも運営していますので、ぜひ「クロイソス」の工芸茶で穏やかなひとときを過ごしていただけたら幸いです。
もともと女性客が多かったという「クロイソス」さんですが、新型コロナウィルスが流行してから、なぜか自宅用に工芸茶を求める若い男性客が増えたというお話が印象的でした。
性別も年齢も関係なく、誰にでも癒しが必要なこの時代。ぜひ皆さんも工芸茶で、大切な相手に、もしくは自分に、特別なリラックスタイムをプレゼントしてみてはいかがでしょう。
「工芸茶専門店CroesuS 銀座本店」
住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座7-10-10 セレンシービル1F |
営業時間 | 11:00~20:00 |
定休日 | 不定休 |
電話番号 | 03-5568-2200 |
その他 | 駐車場はなし |
公式SNS | https://mercure.shop-pro.jp/ |
※本記事の情報は公開時点のものです。(2020/12/24)