パナソニック汐留美術館では、2021年7月3日(土)~9月20日(月)までの期間、「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」が開催されています。7月2日にプレス内覧会が開催されましたので、その様子をお伝えいたします。
「デザインとは、ひとまわり大きな枠組みから考えるもの。椅子は部屋から、部屋は家から、家は周辺の環境から、環境は都市計画から考えるのです」
美しい森と湖で知られる北欧の国フィンランド。自然との調和を大切にする国民性や洗練されたデザイン・プロダクトは世界中で高い人気を誇っています。
日本にもファンの多いフィンランドのモダニズム、その原点を築いたのが建築家・都市計画家のエリエル・サーリネンです。サーリネンは静かな自然の中でさまざまな建築や芸術家と協働・交流し、民族のルーツを希求しつつ新たなモダニズム・デザインを展開させていきました。
本展はサーリネンが1923年に渡米する以前のフィンランド時代にスポットを当て、多彩な作品資料を通じてその創作活動を紹介します。
美しい森の国で生まれた建築たち
フィンランドにおいて国際的な名声を博した最初の人物ともいわれるサーリネン。
彼は母国の自然や風土にそのアイデンティティを置きつつ、つねに革新的なデザインを世に送り出し続けました。
会場では彼の制作した図面や建築写真のみならず家具や陶磁器、テキスタイルなど北欧のさまざまな暮らしのデザインを紹介。
多角的な展示を通じて、民族のルーツを希求した初期のスタイルから新しいフィンランドらしさを提示しようというモダニズムへと向かった彼の創造のプロセスを辿ることができます。
フィンランドの伝統手工芸を堪能できる「イーリスの間」
サーリネンの建築が一躍注目を浴びた1990年パリ万国博覧会に関する展示は、本展覧会の白眉とも言える内容です。
ヘルシンキ工科大学の学生たちによって結成されたゲセリウス・リンドグレン・サーリネン建築設計事務所は1989年の設計競技において一等に選出され、その名を広く世界に発信することなりました。
彼らの手がけたパリ万国博覧会フィンランド館は「イシドール」という教会のような外観で人々を魅了しましたが、同時に伝統手工芸にスポットを当てたイーリスの間というイベントが注目を浴びていました。
これはフィンランドの画家アクセリ・ガレン=カレラらを招聘し、彼らの作品で部屋のデザインをすることでフィンランド独自の手工芸に国際的な注目を集めようというものです。本コーナーでは、ガレン=カレラの制作した有名なイーリスチェアや伝統織物、陶磁器やフレスコ画など、暮らしに根差した手工芸が紹介されています。
「自然の中の暮らし」を体現したヴィトレスク邸
「ヴィトレスクは私たちにとって『家』というものが意味するものの全てだった」(サーリネン)
ヴィトレスクはサーリネンらの設計事務所兼共同生活の場として、ヘルシンキ西方の美しい湖畔に設計されました。
ヴィトレスクはまさに「自然の中の暮らし」の理想を体現した建築であり、建築と暮らしのデザインが融合した総合芸術作品。
本展では特にこのヴィトレスク関連の展示に注力しており、会場ではメインルームや寝室で用いられていたサーリネンのデザインによる家具の展示、さらに美しいダイニングルームを展示会場に再現し、その魅力を余すところなく伝えています。
開催概要
展覧会名 | サーリネンとフィンランドの美しい建築 展 |
会場 | パナソニック汐留美術館 |
会期 | 2021年7月3日(土)~9月20日(月) |
休館日 | 水曜日、8月10日(火)~13日(金) ※新型コロナウイルスの影響により、会期・時間変更の可能性があります。最新情報を公式サイトよりご確認下さい。 |
時間 | 午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで) ※8月6日(金)、9月3日(金)は夜間開館 午後8時まで(ご入館は午後7時30分まで) |
料金 | 一般:800円、65歳以上:700円、大学生:600円、中・高校生:400円、小学生以下:無料 ※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。 |
URL | https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/21/210703/index.html |