資生堂ギャラリーでは、2019年1月16日~3月17日の期間、「アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop: The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ ASSEMBLE,THE EUGENE Studio Ⅱ」を開催します。
ASSEMBLE(アッセンブル)はイギリスの建築家集団。建築の分野に留まらず、アート、デザインの幅広い領域で今日の社会創造的な活動と芸術の新しいあり様を提示しています。資生堂の初代社長の福原信三氏は社会、日常の中にある美や創造性を追求しましたが、その美学に共感したASSEMBLEが来日して今回のイベントが実現しました。
本展の期間中には、ASSEMBLEがイギリスのリバプールで地域住民と協同で行っているグランビー・ワークショップを2月3日まで実演し、以後3月17日までその活動の記録を展示します。
今回は本展の開催に先立って行われたメディア向けのギャラリートーク&デモンストレーションを取材しましたので、その様子をお伝えします。
グランビー・ワークショップでは実験的なセラミックを制作しています。今回はリバプールのセラミック工房をそのまま東京に再現。
様々なスタイルを模索しながらもASSEMBLEがワークショップでセラミック制作というかたちをとったのは、作り手と受け手の在り方を熟考した結果であるそう。土というどこにでもある素材を用いながらも、その土は成形され焼かれることにより永続的なものへと姿を変えます。また、その過程で偶然性も加わり、作り手が予想もしなかった結果を生み出します。それをどう他者が受けとめるのかという一連の実験的なプロセスを、ここ、東京で目にすることができます。
土はその土地で長い年月を経て生成されるもの。土によって個性が異なり、出来上がる作品もまた独自の味わいをもつことでしょう。今回は益子焼で知られる栃木県芳賀郡益子町で産出される土を使用してセラミックを制作。ASSEMBLEが日本ならではの作品をワークショップ参加者とともに生み出します。
グランビー・ワークショップでは石膏の型に液状の粘土を流し込み成形する「スリップキャスティング(鋳込み成形)」という手法を用いています。型を使用する=大量生産といったイメージと結びつきますが、こちらでは9種からなる型を自由に組み合わせることで無限に近いバリエーションを生み出すことを可能としています。さらにそこに古いガラスや粉砕した陶磁器などを混ぜ込み、大きさ・形・デザイン全てがオリジナルの作品ができあがります。
展覧会開始から1週間の制作期間中、来場者は上記の工程を間近で観察することができます。その後ギャラリー内で制作された作品は益子市に運ばれて日本古来の登り窯で焼かれ、その後再び資生堂ギャラリーに戻ってきます。3月までの会期中は完成した作品や、完成するまでの各過程の作品を展示し、制作の様子を記録したビデオの上映も予定されています。
本ワークショップは、リバプールのグランビー地区再生活動の一環としてASSEMBLEが主導となりはじめたものですが、ものづくりを通して地域にクリエイティビティと雇用を生み出す活動が評価され、2015年にASSEMBLEはターナー賞※を受賞します。
※イギリスに活動拠点を置くアーティストを対象とした現代美術賞
「アートが日常を変える」というテーマは彼らの活動の根底にあるものといえるのではないでしょうか。世界的に注目を集めるASSEMBLEの活動の一部を日本で目にすることができるチャンスですので、ぜひ資生堂ギャラリーに足を運んでみてください。彼らの世界観に触れることで、あなたの日常にも変化が訪れるかもしれません。
展覧会概要
展覧会名 | 「アートが日常を変える 福原信三の美学 Granby Workshop : The Rules of Production Shinzo Fukuhara/ASSEMBLE, THE EUGENE Studio Ⅱ」展 |
会期 | 2019年1月16日(水)~3月17日(日) |
会場 | 資生堂ギャラリー 東京都中央区銀座 8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下 1階 |
開館時間 | 火~土 11:00~19:00 日曜・祝祭日 11:00~18:00 |
休館日 | 毎週月曜日(月曜日が祝日にあたる場合も休館) |
入場料 | 無料 | TEL | 03 -3572 -3901 |
公式サイト | https://www.shiseidogroup.jp/gallery/?rt_pr=trc81 |