「うちのイチオシ!」
このコーナーでは、お店や施設の「イチオシ!」のモノ、人、場所、こだわりなどのお話をお伺いしていきます。
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今回、訪問させていただいたのは「東京鳩居堂」さん。
1663年創業、今年で350周年になるお香・書道用品・和紙製品を取り扱う、老舗専門店です。入口の「向かい鳩」がとても印象的な店構えで、多くのファンを魅了しているお店です。
お話をお伺いさせていただいたのは、東京鳩居堂銀座店 次長 庄司治好さんです。
⇒さっそくですが、東京鳩居堂さんの「うちのイチオシ!」を教えてください!
鳩居堂は、京都で開業して今年で350周年なんです。その350周年記念商品が「イチオシ!」になります。
⇒それはどのようなものですか?
「手描総白檀扇子」、「 茜双鳩(あかねそうきゅう)」、「翔陽硯(しょうようけん)」、「伽羅(きゃら)」という4つの商品です。
「手描総白檀扇子」は、名前の通り総白檀で作られた扇子になります。
「白檀」は、ビャクダン科の常緑樹のことで、近年入手が大変困難になっています。
今回は、20本という数量限定で作らせていただきました。 職人さんが一本一本手彫りをし、金や銀で絵付けをした大変貴重なものになっております。天然の白檀の甘く優しい香りを楽しめると思います。
超長鋒筆「 茜双鳩(あかねそうきゅう)」は、一般の筆に比べて穂先が長いのが特徴的な筆になります。
上質な羊毛を使い、熟練の職人さんが一本一本丁寧に作り上げています。羊毛を使った筆は、墨をよく含み、耐久性にも優れています。こちらは、限定8本 になります。
「翔陽硯(しょうようけん)」は、硯の産地として有名な雨端で作られた硯で、「雨端硯」と呼ばれています。
「雨端硯」は石のきめがとても細かいので、とても粒子の細かい墨になり、書くと伸びる、筆の運びが軽いと書家の中にも愛好家が多いことで有名です。今回は、1点のみの限定になりますが、伝統的な「雨端硯」は、末永くお使いいただける1品になると思います。
「伽羅(きゃら)」は、「香の老舗専門店」である鳩居堂が、香木の最高位である伽羅で作り上げた銘香です。
「沈香」という香木のなかで最も上等なものが「伽羅」です。その貴重で希少価値の高いものとして知られている「伽羅」を使った線香です。気品ある香りをお楽しみいただけます。
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350周年にふさわしいとても気品のあるものばかり!総白檀の扇子は、優しく包み込まれるような香りが、心地よく感じられ、伽羅は、箱を開けると香りが広がり、とても重厚感がある感じがしました。火を灯すとまた香りが変化するのかもしれませんね。「香の老舗専門店」ならではの商品ですね。
⇒今年で350周年、ずっと変わらず伝統を守っているというのはすごいですね。
いやいや、実は変わっているのですよ。時代の流れによって、少しずつ改良を加えその時にあったものを提供させていただいています。
お線香を例にとってみても、昔は長いのが当たり前でした。でも、今は時代が変わり、生活環境も変化していく中で、変化しています。
仏壇も小さくなってきていますよね。そんな変わりゆく環境の中で、お客様のもう少し短いお線香が欲しい、煙が少ないものはないの?という声を聞き、改良を重ね短いお線香を作りました。これがとても人気で・・・。
さらには香りも楽しみたいという声も多かったので、香りも増やしています。今回、新たな香りも加わり、全5種類で展開しています。月1回開発会議を行い、お客様の声を反映しています。
でも、なんでもかんでも新しいものを取り入れていくかって言われるとそうではないですね。
今まであったものは、一度なくしてしまったらもう二度と手に入らない。でも、それだけ追い求めるとお客様のニーズに合わない。そこで、伝統文化を守りながら新しい風を入れつつ、常にお客様に喜んでもらえるものを提供する。それが鳩居堂らしいところだと思っています。
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鳩居堂さんが、銀座にお店を出したのは、明治時代(1880年)。京都で商売をしていましたが、江戸時代が終わり、京都から東京へ都が移動したことにあわせて、銀座にお店を出されたそうです。銀座に出店してからも今年で133年目だそうです。
⇒銀座で133年、銀座ならではのエピソードはありますか?
例えば、のし袋の上書きをどうしたらいいの?ご仏前とご霊前の違いは?などのお問合わせは多いですね。鳩居堂は、しきたりに強いという印象があるみたいですね。他の専門店さんからのご紹介で鳩居堂に問合わせがあるときもあります。
分かる事は、お答えさせていただいています。分からない事は、逆に他の専門店さんをご紹介させていただいたり・・・。鳩居堂1店舗だけということでなく、銀座の街全体でお客様をおもてなししているのが、ここ銀座の特徴だと思います。
⇒おもてなしと言えば、海外の方もよく来店されるのでしょうか?
とっても多いですよ。海外の方には特に和紙の小物が人気ですね。日本らしいものをお買い求めになる方が多いです。中には、書道の筆を買っていかれる方もいらっしゃいます。
先日、筆をお買い求めになった方とお話をしたら、そのお客様は、数年前に日本に来て筆を買って行かれたそうなのですが、また日本に来たから買っていこうと立ち寄ってくださったそうです。嬉しいですね。私どもは、たとえ言葉が通じなくとも、必ず笑顔で挨拶を心がけています。
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日本の伝統や文化を守り、伝え、育て、そして知恵やマナー、しきたりを伝え広めていく。それが鳩居堂の使命かもしれません、と庄司さんはお話してくださいました。
⇒最後に「銀座」を訪れる方にひと言お願いします!
大人の街でありながら、刺激的でもあり、癒しも得られる街が銀座。個性的なお店も多いし、とっても素敵な街なので、ぜひ若い世代の人にも足を運んで欲しいですね。鳩居堂も若い世代の人にも親しんでもらえるような商品づくり、お店づくりに励んでいます。ぜひお越しください。
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「故きを温ね新しきを知る」、伝統を重んじながらも時代の風を感じつつ、銀座の街の一部として、銀座という街の中で生きているお店・・・国内外を問わず多くのファンがいるのも納得です。
素敵な商品もたくさんある東京鳩居堂さん。ぜひ足を運んでみてください。新しい発見もありそうですね!
ココシル情報!
外国の方にも人気のポストカード。大人気商品なのでお早めに!額に入れて飾るのも素敵ですね。