パナソニック汐留美術館では、2021年1月9日(土)~3月21日(日)までの期間、「香りの器 高砂コレクション展」が開催されています。1月8日にプレス内覧会が開催されましたので、その様子をお伝えいたします。
器を通じ、香りを「見る」展覧会。
人間の五感の中で「香り」というは少し不思議な存在です。視覚や聴覚のような存在感はなくても、「香り」は私たちの人生を豊かに彩り、時には幼い頃の記憶さえ呼び起こす・・・。
人間と香りの関わりは古く、その歴史は紀元前3000年頃のメソポタミアやエジプトにまで遡ることができると言われています。私たちは古来から香りを身につけ、また空間を香りで満たすなど、生活に欠かせないものとして香りと共生してきたのです。
「香りの器 高砂コレクション展」では香油壺や香水瓶など、高砂香料株式会社が長年に収集してきた「香り」にまつわる質の高いコレクションからおよそ240点を展示。古代オリエントのガラス製容器から陶磁器製香水瓶、アール・ヌーヴォー様式の作品やルネ・ラリックら有名デザイナーたちが手掛けたものなど、多様な香りの器が時代や場所を超えて結集します。
「香り」にまつわる絵画やポスター、家具も登場!
展示品は香りの器だけではありません。本展ではさらに高砂コレクションに加え、国内の美術館よりマリー・ローランサンの名画やアール・デコ時代の椅子や照明器具などが東京会場のみ特別出品されます。また、石鹸や香水、化粧品などの印刷ポスターを展示したコーナーも。
香りやそれにまつわる道具は人々の生活や装いに欠かせないものであり、それぞれの時代の美意識を反映していることを実感できます。
香りを「焚く」日本の文化も紹介!
古今東西の「香り」にまつわる道具を展示する本展覧会。西洋が香水や香油で香りを楽しむのに比べ、日本では「香を焚く」という文化があります。
展覧会終盤では香席で用いられる伝統的な香道具や香木、香道伝書などの資料から、近現代の工芸家の作品まで幅広く展示。日本人は香りに関して古来から繊細な感覚を持っており、『伊勢物語』などでも香りをきっかけに別れた恋人同士が思いを交わす描写などがあります。
展示作品紹介
ボヘミアン・ガラスの香水瓶
-Bohemian Glass Perfume Bottles-
会場でも一際輝きを放つのが、ボヘミアン・ガラスの香水瓶が集められたこちらのコーナー。19世紀に入ってボヘミアン・ガラスは香水文化の普及を背景に普及。さまざまな技術革新を成し遂げ、多様な香水瓶を生み出しました。
色グラスに金彩やエナメル彩を施した美しい香水瓶や、卓越した技術によって文様を図柄を掘り出したもの・・・。まさに香水瓶の「百花繚乱」とも呼ぶべき輝きを、ぜひ会場で直接ご覧ください。
ポール・ポワレ/ジュリアン・ヴィアール 香水瓶「道化(ロジーヌ社)
-Arleqinade (Les Parfums de Rozine)-
「道化」というユニークな名前を冠したポール・ポワレ作の香水瓶。黒い三角のストッパーで帽子を、金と透明の三角形の模様でピエロのコスチュームをイメージしたとのこと。会場では親友のマリー・ローランサンの手による肖像画や家具と一緒に展示され、洗練された雰囲気を醸し出しています。
ポール・ポワレは自身の香水をオートクチュール店で発売したはじめてのデザイナー。クチュールと香水を関連付けることで20世紀の香水に革新をもたらしました。
エミール・ガレ 草花文香水瓶
-Perfume bottle with botanical motifs-
どこか屏風絵のような「和」の佇まいの香水瓶。クリーム色の素地に朱色のガラスをかぶせ、エッチングで草花文様を彫り出しています。エミール・ガレは日本の工芸や美術品から多くのインスピレーションを得て、アール・ヌーヴォーのおけるガラス工芸の第一人者として活躍しました。
手前の香水瓶は華麗なアネモネがモチーフとなっています。
開催概要
展覧会名 | 香りの器 高砂コレクション展 |
会場 | パナソニック汐留美術館 |
会期 | 2021年1月9日(土)~3月21日(日) |
休館日 | 水曜日 ※新型コロナウイルスの影響により、会期・時間変更の可能性があります。最新情報を公式サイトよりご確認下さい。 |
時間 | 午前10時より午後6時まで(入館は午後5時30分まで) ※2月5日(金)、3月5日(金)は夜間開館 午後8時まで(入館は午後7時30分まで) |
料金 | 一般:1,000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円、小学生以下:無料 ※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。 |
URL | https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/21/210109/ |