「ポーランド派」の若き筆頭監督として『地下水道』(1957年)や『灰とダイヤモンド』(1958年)で世界の映画界に新風を巻き起こし、後には『大理石の男』(1977年)や『鉄の男』(1981年)を発表して当時の社会主義体制にも抗いながら、ポーランドがたどった苛酷な歴史の雄弁な語り手として、またポーランド文学の名作をたびたび翻案することで壮大な物語世界を築き上げた巨匠アンジェイ・ワイダ(1926-2016)。
この展覧会は、2019年にクラクフ国立美術館で開催された、ワイダ監督の60年以上の作品歴の中から現地の専門家が構成した企画の初の海外巡回であり、ワイダ監督が築いた日本との深い関係を示す独自の章を加えて、その作家像と作品世界を立体的に紹介します。
見どころ
- ポーランド国内の各機関の全面協力のもとに開催される大規模回顧展2019年にポーランドで開催されたワイダ監督の大規模回顧展が、ポーランド国内の各機関の全面協力のもと初めての海外巡回として東京にやってまいります。クラクフの日本美術技術博物館Manggha(マンガ)のコレクションを中心とした貴重な資料が集結する内容はそのままに、監督が生涯にわたって育んだ日本との深いつながりに着目する東京展独自の視点も設け、約190点の展示品で監督の功績を振り返ります。
- 実資料の陳列にとどまらない多角的な展示内容美術学校出身で絵画の才に恵まれた監督本人によるスケッチ、映画祭の受賞トロフィー、さらには作品で着用された衣裳など、多岐にわたる資料を実物展示するだけにとどまらず、ビデオプロジェクションやデジタル展示を始めとするさまざまな展示方法を駆使して、その作品世界について立体的にお示しします。
- 会期中には展覧会と連動した特集上映を開催会期冒頭の12月10日(火)から26日(土)には、同じタイトルの特集上映も開催いたします。日本劇場未公開作品のほか、2022年に閉館した岩波ホール旧蔵の35mmプリントを用いた上映まで含んだ全14本のラインナップは必見です。
展覧会の構成
第1章
子どもたちの神話 Children’s Myths / Mity dziecięce
少年期のワイダの精神を形作り、映画でも表現された19世紀ポーランドへの憧憬を取り上げます。
関連作品:『パン・タデウシュ物語』(1999年)
第2章
地獄 Hell / piekło
絶望的状況の中でナチの支配に抵抗したポーランドの民衆をワイダはいかに描いたか、「抵抗三部作」の一つとして知られる『灰とダイヤモンド』を始めとする作品とともに振り返ります。
関連作品:『灰とダイヤモンド』(1958年)、『カティンの森』(2007年)ほか
第3章
新しい波 New Wave / Nowa Fala
1950年代後半から世界映画を刷新した《新しい波》の一翼を担う「ポーランド派」の筆頭として、ワイダは映画の革新性をさらに推し進めました。
関連作品:『夜の終りに』(1960年)、『蝿取り紙』(1969年)ほか
第4章
革命 Revolution / Rewolucja
ワイダは労働者たちの「連帯」に一貫して併走し、体制変革の一角を担いました。
関連作品:『大理石の男』(1977年)、『鉄の男』(1981年)、『ダントン』(1983年)ほか
第5章
(不)死 (Im)mortality / (Nie)śmiertelność
ワイダ映画のもう一つの顔――文芸映画に見られる静けさとノスタルジアに迫ります。
関連作品:『白樺の林』(1970年)、『ヴィルコの娘たち』(1979年)、『菖蒲』(2009年)ほか
第6章
日本 Japan / Japonia
日本の美術や風土を愛したワイダと、ワイダの映画を誠実に紹介した日本の深い関わりに注目します。
展示品:岩波ホール関連資料、演劇資料、『ナスターシャ』(舞台1988年/映画1994年)資料ほか
関連上映企画
本展覧会と関連した上映企画を開催いたします。
上映企画「映画監督 アンジェイ・ワイダ」
会期:2024年12月10日(火)— 26日(木)
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホールOZU(2階)
URL:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/film-director-andrzej-wajda202412/
トークイベント
ゲストを招いたギャラリートークや当館研究員による展示品解説を開催いたします。
開催日:2024年12月14日(土)
講師:ラファウ・シスカ氏(本展覧会キュレーター、ヤギェロン大学視聴覚研究所准教授)
場所:展示室ロビー(7階)
※詳細は後日ホームページ等でお知らせいたします。
開催概要
企画名:映画監督 アンジェイ・ワイダ
(英題 / Film Director Andrzej Wajda)
主催:国立映画アーカイブ、日本美術技術博物館Manggha、アダム・ミツキェヴィチ・インスティテュート
協力:クラクフ国立美術館、ポーランド広報文化センター
会期:2024年12月10日[火]- 2025年3月23日[日]
休室日:月曜日および12月27日[金]- 1月5日[日]
開室時間:午前11時-午後6時30分(入室は午後6時まで)
*1/31、2/28の金曜日は開室時間を午後8時まで延長いたします。(入室は午後7時30分まで)
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
アクセス
:東京メトロ銀座線京橋駅下車、出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
都営地下鉄浅草線宝町駅下車、出口A4から中央通り方向へ徒歩1分
東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅下車、出口7より徒歩5分
JR東京駅下車、八重洲南口より徒歩10分
料金
:一般250円(200円)/大学生130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者手帳をお持ちの方(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
*料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含みます。
*( )内は20名以上の団体料金です。
*学生、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方、キャンパスメンバーズの方は入室の際、証明できるものをご提示ください。
*国立映画アーカイブが主催する上映会の観覧券(オンラインチケット「購入確認メール」またはQRコードのプリントアウト)をご提示いただくと、1回に限り団体料金が適用されます。
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
HP:https://www.nfaj.go.jp/exhibition/andrzejwajda2024/
【文化庁】プレスリリースより
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