【国立新美術館】ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年 報道内覧会レポート

シニェイ・メルシェ・パール ≪紫のドレスの婦人≫ 1874年 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

 

 

2019年12月4日(水)~、東京・六本木の国立新美術館にて、「日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念 ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵 ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年が開催されています。(2020年3月16日まで)
先日、開催に先立ち、プレス向け内覧会がありましたので、その様子をレポート致します。
ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年について、みどころ、注目作品などを紹介しますので、ご覧ください。


 

ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年について

 

「ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年」は、日本とハンガリーの外交関係開設150周年を記念してブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリ―の選りすぐりのコレクションを集めた展覧会です。

 

【ブダペスト国立西洋美術館】

ブダペスト国立西洋美術館は、1906年に開館。
コレクションの元となる作品の多くは、エステルハ―ジ家などのハンガリー貴族に由来し、ハンガリーを含むヨーロッパ美術を一つにまとめて所蔵していました。

 

【ハンガリー・ナショナル・ギャラリー】

ハンガリー・ナショナル・ギャラリーは、1957年に開設。
ハンガリー美術専門の機関として、それまでブダペスト国立西洋美術館が所蔵していたハンガリー美術が、同ギャラリーに段階的に移管されました。

 

【2012年に2館は統合】


ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーは、2012年に一つの組織に統合され、収蔵分野の再編が進められています。
ブダペスト国立西洋美術館は、2019年現在、ギリシャ・ローマやエジプトの古代作品と中世末期から18世紀末までのヨーロッパとハンガリーの美術品を収蔵しています。
ハンガリー・ナショナル・ギャラリーは、19世紀以降のハンガリー美術や19世紀以降の世界各国の美術品も展示しています。



 

展覧会のみどころ&構成

 

展覧会の見どころは、3つです。

①25年ぶりのコレクション展

ブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーの所蔵品展示が、日本で最後に開かれたのは、1994年。
2019年の今年は、1869年に修好通商航海条約に日本とハンガリー(当時はオーストリア=ハンガリー二重帝国)が調印し、外交関係を樹立してから150周年の節目に当たります。
その節目の年を記念して、両館のコレクション展が、日本で実に25年ぶりに実現することになりました。

 

②ルネサンスから20世紀初頭までの約400年に渡る西洋美術の名品130点、一挙来日

展覧会には、約400年の西洋美術の歴史を彩った、全130点の絵画・彫刻・素描が来日します。
時代は、16世紀ルネサンスから20世紀初頭アヴァンギャルドの時代まで。
作家は、北方ルネサンスの巨匠ルカス・クラーナハ(父)から、エル・グレコ、ティツィアーノ、ティエポロ、モネ、ルノワール、クールベ、20世紀初頭のドイツ前衛芸術の異才、クルト・シュヴィッタースまで。
各時代を代表する作家たちの名品をお楽しみいただけます。

 

③ハンガリー近代絵画の名作が一堂に

19世紀から20世紀初頭にかけて、ハンガリーではナショナリズムの機運が高まり、芸術文化活動の分野も極めて活発に展開していました。
今回の展覧会には、今日、ハンガリーで最も愛されている名画、≪紫のドレスの婦人≫の作者シニェィ・メルシェ・パールをはじめ、
ナビ派の大家リップル=ロ-ナイ・ヨ-ジェフ、パリを拠点として国際的に活躍したムンカ-チ・ミハ-イ、象徴主義の鬼才チョントヴァ-リ・コストカ・ティヴァダル、世紀末の巨匠ヴァサリ・ヤ-ノシュなど、近代美術を代表する画家たちの35点もの名作が出品されます。
日本では、なかなかお目にかかれないハンガリ-近代絵画に触れられる貴重な機会となります。

 

♦展覧会の構成は、下記の表の通りとなっています。♦

 

第一章 ルネサンスから18世紀まで

I-1 ドイツとネーデルラントの絵画
I-2 イタリア絵画
I-3 黄金時代のオランダ絵画
I-4 スペイン絵画―黄金時代からゴヤまで
I-5 ネーデルラントとイタリアの静物画
I-6 17-18世紀のヨーロッパの都市と風景
I-7  17-18世紀のハンガリー王国の絵画芸術
I-8 彫刻

 

第二章 19世紀・20世紀初頭

Ⅱ-1 ビーダーマイアー
Ⅱ-2 レアリスム-風俗画と肖像画
Ⅱ-3 戸外制作の絵画
Ⅱ-4 自然主義
Ⅱ-5 世紀末-神話、寓意、象徴主義
Ⅱ-6 ポスト印象派
Ⅱ-7 20世紀初頭の芸術-
表現主義、構成主義、アール・デコ

 

編集部注目の作品

 

編集部が注目した作品を何点か紹介します。

 

紫のドレスの婦人

19世紀後半から20世紀初頭のハンガリー近代絵画の先駆的な役割を果たした、シニェイ・メルシェ・パールの作品です。
紫のドレスの夫人は、結婚したばかりの美しい妻・ジョーフィアをモデルにしたもの。
夫人が纏(まと)う紫のドレスは、明るい緑と黄色からなる草原の美しさを遥かにしのぐ、鮮明さです。
会場でこの絵画を見つけたら、思わず引き込まれて、足を止めることでしょう。

シニェイ・メルシェ・パール ≪紫のドレスの婦人≫ 1874年 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

 


不釣り合いなカップル 老人と若い女

ザクセン選帝侯の宮廷画家として名声を博した、ドイツ・ルネサンスを代表する画家、ルカス・クラーナハ(父)の作品です。
美しい若い女の体に触れる老人。
対して、老人の懐に手を伸ばし、財布を奪おうとする女。
男性の汚らわしさと、女性のずる賢さを見事に表現しています。

ルカス・クラーナハ(父) ≪不釣り合いなカップル 老人と若い女≫ 1522年 ブダペスト国立西洋美術館

 


不釣り合いなカップル 老女と若い男

同じくルカス・クラーナハ(父)の作品です。
若い男の手を握ろうとする老女が、男の気を惹くために金銭を渡しています。
対して、若い男は肩に手を回しつつも、冷めた表情で老女を見つめています。
愛はお金では買えないということを皮肉を込めて描いています。
先述の「不釣り合いなカップル 老人と若い女」との異なる男女の関係性、表現を見比べてください。

ルカス・クラーナハ(父) ≪不釣り合いなカップル 老女と若い男≫ 1520-1522年頃 ブダペスト国立西洋美術館

 


小さな宝石商

ウィーン美術アカデミーで学び、画家レオポルト・クーペルヴィーザーやトーマス・エンダーに教えを受け、その才能を開花したヨハン・バプティスト・ライターの作品です。
キラキラと輝く小さな宝石を光にかざす、少女。
眩い(まばゆい)光を驚きをもって、見つめています。
その光を小さな瞳に感じながら、何億光年も先の世界を見ているのかもしれません。

ヨハン・バプティスト・ライター ≪小さな宝石商≫1850年 ブダペスト国立西洋美術館

 


伝書鳩

ウィーン美術学校で学んだ後、ヴェネツィアにて修業を続けた、トランシルヴァニア出身の画家バラバーシュ・ミクローシュの作品。
伝書鳩を抱きかかえる上品な女性の表情は、とても柔らかく、澄んでいます。
女性の白い肌、ドレスの白、伝書鳩の白、全ての白が高潔に見えます。

※トランシルヴァニア=当時、ハンガリー領に属していたルーマニア北西部地方の地域

バラバーシュ・ミクローシュ ≪伝書鳩≫ 1843年 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

 


性格表現の頭像 あくびをする人

ウイーン美術アカデミーで教授を務めたこともある作家、フランツ・クサーヴァー・メッサーシュミットの作品。
この作品は、教授時代に伝統的な肖像彫刻を制作していたものの、次第に精神を病み、離職してから制作に没頭した連作、「性格表現の頭像」のうちの一つです。
大きくあくびをする人の目尻や首の皺がとてもリアルに表現されています。
こうした表情の作品を制作したのは、自分を苦しめる妄想を治療するためだったとも言われています。

フランツ・クサーヴァー・メッサーシュミット ≪性格表現の頭像 あくびをする人≫ 177-1781年 ブダペスト国立西洋美術館

 


漁師たち

19世紀のハンガリー風景画の改革者だったマルコ・カーロイ(父)の作品です。
小舟に乗り、なにやら話し込む漁師とその妻たち。
眩いばかりの黄金の
光は、息をのむほどで、漁師たちに生命の活力を与えます。

マルコー・カーロイ(父) ≪漁師たち≫ 1851年 ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー

 

 

まとめ

 

「ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年」 報道内覧会について、レポートしてきました。
25年ぶりに来日するブダペスト国立西洋美術館とハンガリー・ナショナル・ギャラリーの数々の芸術作品に触れられる機会とあって、一つの作品も見逃すまいとする方々の熱心なまなざしが、会場内にはありました。
全130点の展示ということで、一度ならずとも、何度も足を運んで、その作品群を記憶に焼き付けたいところです。
紹介した作品以外にも数々の素晴らしい作品がありますので、ぜひとも、国立新美術館に足を向けてみてはいかがでしょうか?
この機会を逃したら、次回は、いつお目にかかれるか分からない、貴重な展覧会です!

 

 

 

開催概要

 
■展覧会名:
「日本・ハンガリー外交関係開設150周年記念 ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵 ブダペスト-ヨーロッパとハンガリーの美術400年」
 
■会期:  2019年12月4日(水)~2020年3月16日(月)
 
■会場: 国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
 
■開館時間: 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
 
■休館日:  毎週火曜日、年末年始2019年12月24日(火)~2020年1月7日(火)休館
※ただし、2月11日(火・祝)は開館、2月12日(水)は休館
 
■観覧料:  当日 1,700円(一般)、1,100円(大学生)、700円(高校生)
団体券 1,500円(一般)、900円(大学生)、500円(高校生)
 
・中学生以下は入場無料。
 
・障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
 
・2020年1月11日(土)~13日(月・祝)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)。
 
・団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)。
 
・チケット取扱い:国立新美術館(開館日のみ)、展覧会ホームページ、セブンチケット(セブンコード:078-911)、ローソンチケット(Lコード:31133)、イープラス、チケットぴあ(Pコード:769-952)ほか各種プレイガイド(手数料がかかる場合があります)
 
【音声ガイド付き観覧券】(セブンチケットのみで販売)
 
当日  2,200円(一般)、1,600円(大学生)、1,200円(高校生)
※2019年12月4日(水)~2020年3月16日(月)まで販売。
 
・チケットの詳しい情報は、展覧会ホームページ<https://budapest.exhn.jp>のチケット情報をご覧ください。
 
・会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、本展覧会チケットを100円割引でご購入いただけます。
 
・国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。
 
・その他の割引などお得な情報はこちら<https://www.nact.jp/information/profit>をご覧ください。
 
・会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
 
■公式サイト https://budapest.exhn.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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