【パナソニック汐留美術館】特別企画 「和巧絶佳展 ー令和時代の超工芸ー」内覧会レポート

深堀隆介 <百舟> 2018 刈谷市美術館

2020年7月18日(土)より、パナソニック汐留美術館にて、特別企画 「和巧絶佳展 ー令和時代の超工芸ー」 が開催されています。(~9月22日(祝)まで)
先日、この展覧会のプレス内覧会がありました。

この記事では、和巧絶佳展のみどころ、展覧会の構成、編集部注目の作品などについて紹介します。
それでは、ご覧ください!


和巧絶佳展について

 

和巧絶佳展は、日本の美意識に根ざした工芸的作品を制作する、いま最も注目されている1970年以降生まれの12人の作家を紹介する展覧会です。
展覧会のタイトルとなっている「和巧絶佳」とは、現在の日本の工芸的な作品の三つの傾向~日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美、手わざの極致に挑む「巧」の美、工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」を組み合わせたもの。
12人の作家たちの展示作品を鑑賞することで、今まで受け継がれてきた日本の伝統工芸と現在の日本工芸の新しい兆候を読み解きます。

 

和巧絶佳展~3つのみどころ~

 

展覧会のみどころは、大きく分けて3つです。

 

①現代美術、デザイン、工芸の枠を超えた新しい日本の美を紹介

グローバル時代をむかえ、映像やデジタル技術を駆使した表現が増加するなか、
作家自らの手により生み出された表現が改めて注目されています。
展覧会では、現代日本における“人が作り出す美”を紹介します。

 

②現代における工芸美を探求する12名の作家による作品の展示

―1970年以降に生まれた人気作家たち―
安達大悟、池田晃将、桑田卓郎、坂井直樹、佐合道子、髙橋賢悟、舘鼻則孝、新里明士、橋本千毅、深堀隆介、見附正康、山本茜の作品を紹介します。

 



③出品作品の約3割が新作、初公開作品!

9割の出品作家が、本展のために新作を制作しました。
経験を重ねるごとに、その技術にさらに磨きがかかる作家たちの一番新しい表現を目にすることができる絶好の機会です。

 

和巧絶佳展の構成

 

展覧会は、3章で構成されています。

 

第1章 日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美

(出展作家)
・舘鼻則孝(たてはなのりたか)
・桑田卓郎(くわたたくろう)
・深堀隆介(ふかほりりゅうすけ)

第2章 手わざの極致に挑む「巧」の美
(出展作家)
・見附正康(みつけまさやす)
・池田晃将(いけだてるまさ)
・山本茜(やまもとあかね)
・髙橋賢悟(たかはしけんご)

第3章 工芸素材の 美の可能性を探る「絶佳」
(出展作家)
・橋本千毅(はしもとちたか)
・安達大悟(あだちだいご)
・坂井直樹(さかいなおき)
・新里明士(にいさとあきお)
・佐合道子(さごうみちこ)

 

和巧絶佳展 ~編集部注目の作品を紹介

 

◎舘鼻則孝 <Baby Heel-less Shoes>

 

花魁(おいらん)の高下駄とクリスタルガラスを融合させて制作した、舘鼻則孝の作品。
Heel-less Shoesは、レディーガガやダフネ・ギネスなどにも愛用されていることでも有名です。
クリスタルガラスのきらめきと存在感のある色彩は、見るものに強烈な印象を与えます。

舘鼻則孝 <Baby Heel-less Shoes> 2018 (写真左・右)個人蔵 (写真中央)福田淳蔵

 

◎深堀隆介 <百舟>

 

透明樹脂の表面にアクリル絵具で金魚のからだの一部分を少しずつ描き、それを層状に重ねていくことで、生き生きと金魚を描き出す、深堀隆介の作品です。
器の中を涼し気に泳ぐ、みずみずしい金魚の姿。
懐かしい縁日の記憶が、呼び起こされます。

深堀隆介 <百舟> 2018 刈谷市美術館

 


◎山本茜 <源氏物語シリーズ第十九帖「薄雲」(雪明り)>

 

『源氏物語』の明石の君とその姫君の母子の別れの場面を題材にした山本茜の作品。
透明なガラスの中で透き通る雪明りは、美術館のほのかな照明の中で、神秘的な輝きを放っていました。
見る角度によって、作品の印象が変わります。

山本茜 <源氏物語シリーズ第十九帖「薄雲」(雪明り)> 2011 中谷宇吉郎 雪の科学館

◎髙橋賢悟 <flower funeral ‐cattle‐>

 

無数の生きた花を極薄なアルミニウム素材を流しこむ、現物鋳造という手法を用いて制作した髙橋賢悟の作品です。
牛の頭蓋骨とその周りを埋め尽くす弔いの花。
死の中にある沢山の花が、生き生きと表情をもって語りかけてきます。

髙橋賢悟2017 個人蔵

 

 

◎橋本千毅 <”蝶” >

 

漆工芸技法の蒔絵、平文(ひょうもん)、螺鈿(らでん)を中心に作品を制作している橋本千毅の作品です。
色彩豊かなカラスアゲハが見事に表現されています。
羽を静かにばたつかせ、会場を飛び立っていってしまうのではないかと錯覚してしまうほど、よく作りこまれた作品です。

橋本千毅 <”蝶” > 2020 作家蔵

 

 

 

◎安達大悟 <つながる、とぎれる、くりかえす>

 

グラデーション豊かな色彩のテキスタイルを作り出してきた、安達大悟の作品です。
幾重にも積み重ねられたグラデーションが、奥行きをもってどこまでも続いていきます。
見ているとワクワクしてきて、戻って何度も鑑賞してしまいました。

安達大悟 <つながる、とぎれる、くりかえす> 2020 作家蔵

 

まとめ

パナソニック汐留美術館で、現在開催中の特別企画 「和巧絶佳展 ー令和時代の超工芸ー」の内覧会についてお伝えしてきました。
日本の工芸技術を用いて、ここまで表情の違う作品が勢ぞろいしていることに驚きと感動を覚えました。
そして、日本の手仕事の技術の高さを改めて実感しました。

会場には、ここで取り上げた作品以外にも、12名の素晴らしい作家たちの作品がそろっていますので、
じっくりとその技術を堪能しに来てください。
実際に作品に触れることで、自分だけの気付きを得られるかもしれません。

※会場では、新型コロナウイルス対策として、手指の消毒液が設置されています。消毒の徹底、マスク着用、密を避けるようご注意の上、ご鑑賞ください。

 

 

開催概要

 

展覧会名: 特別企画 和巧絶佳展 令和時代の超工芸

会期: 2020年7月18日(土)~ 9月22日(祝)

開館時間: 10:00~18:00(ご入館は17:30まで)
8月7日(金)、8月28日(金)、9月4日(金)は夜間開館のため 午後20時まで開館(ご入館は午後19時30分まで)

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、8月7日(金)、8月28日(金)の夜間開館(午後20時まで)を中止させていただきます。

休館日: 7月22日(水)、8月12日(水)~14(金)、8月19日(水)、9月9日(水)、9月16日(水)

会場:パナソニック汐留美術館
〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階

■お問い合わせ:ハローダイヤル03-5777-8600

料金:一般 1,000円、 65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生 500円、小学生以下:無料
※20名以上の団体は100円割引
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。

公式HP:https://panasonic.co.jp/ls/museum/

公式フェイスブック: https://www.facebook.com/shiodome.museum


※当館では新型コロナウイルス感染症防止策として、展示室内のお客様人数を制限させていただきます。  

制限人数に達しましたら、以降整理券を発行し入館時間を指定させていただきます。 
なお万が一、当日の整理券をすべて発行した場合はご入館いただけない場合もありますのでご了承願います。

 

 

 

 

 

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