【取材レポ】GINZA SIX屋上にスケートリンク「Rooftop Star Skating Rink」が期間限定オープン!ヤノベケンジの巨大な宇宙猫「SHIP’S CAT」が空間を彩る

 

銀座エリア最大の商業施設である「GINZA SIX」では、屋上庭園のスケートリンクとして毎年好評の「Rooftop Star Skating Rink」が、今年も2024年11月16日~2025年1月26日までの期間限定でオープンしています。

オープン前日には報道内覧会が開催され、同リンクで最新作《SHIP’S CAT(Ultra Muse / Red)》を展示した現代美術作家ヤノベケンジさんも登壇しました。

 


 

現在、GINZA SIXでは「HEAVENLY GIFT -宇宙からの贈り物-」をコンセプトに、アート&カルチャーを中心としたクリスマスプロモーションを展開中(~12月25日まで)。エントランスや地下通路など館内各所を彩っているのは、グラフィックアーティスト・伊藤桂司さんによるコラージュ・ヴィジュアルです。「天からの」と「すばらしい」の2つの意味を持つHEAVENLYをテーマに、日常を忘れ、今日あることの「かけがえのなさ」に感謝し、来館者に高揚感と祝祭感を覚えてもらえるようなクリスマスを表現しているといいます。

 

HEAVENLY GIFT

 

7丁目エントランスのコラージュ・ビジュアル(展示は12月25日まで)

 

11月16日よりGINZA SIXガーデン(屋上庭園)にオープンしたスケートリンク「Rooftop Star Skating Rink」は、電気を使わず、樹脂を使用したエコなリンク。転んでも服が濡れず、子供も安心して滑ることができる設計で、今年も冬の銀座の憩いの場となりそうです。最大収容人数は75人。(※開催概要は本稿の末尾に記載)

 



屋上スケートリンク「Rooftop Star Skating Rink」(オープンは2025年1月26日まで) Photo by Yasuyuki Takaki

 

夜はライトアップ。美しい銀座の夜景を見ながらスケートを楽しめます。Photo by Yasuyuki Takaki

 

ここでは、現代美術作家ヤノベケンジさんによるインスタレーション《WINTER ANGEL》を展開。リンク中央には「SHIP’S CAT」シリーズの最新作、翼が生えた巨大な猫《SHIP’S CAT(Ultra Muse / Red)》が登場し、伊藤桂司によるヘヴンリーなグラフィックとともに来場者を出迎えます。

 

ヤノベケンジ《SHIP’S CAT(Ultra Muse / Red)》2024年(展示は2025年1月26日まで)

 

ヤノベケンジさんは機械彫刻・巨大彫刻の制作で有名で、ユーモラスな造形に社会的メッセージが込められた作品群は国内外で高く評価されています。2017年より制作を開始した、福を運ぶ旅の守り神「SHIP’S CAT」シリーズは近年の代表作。大航海時代にネズミから貨物や船を守り、時に船員たちに癒しをもたらす存在として世界中を旅した「船乗り猫」がモチーフとなっており、作品においては、未来の宇宙をも旅する猫、混迷する世界で若者や人々の旅を導く存在として扱われています。

じつは、GINZA SIXの顔ともいえる中央の巨大な吹き抜け空間では、すでに今年の4月より「SHIP’S CAT」シリーズのインスタレーション《BIG CAT BANG》が披露されています。「芸術は爆発だ!」と語った故・岡本太郎の《太陽の塔》にオマージュを捧げた宇宙船から、宇宙服を着た無数の猫たちが、ビックバンのように勢いよく空へ飛び出していくというヴィジュアルの強烈なインパクトは、SNSなどでもたびたび話題になりました。

 

ヤノベケンジ《BIG CAT BANG》2024年(展示は2025年夏(予定)まで)

 

報道内覧会に登壇したヤノベさんは、《BIG CAT BANG》と《SHIP’S CAT(Ultra Muse / Red)》には、生命は宇宙からもたらされたと考える学説「パンスペルミア説」を元にした、現実と妄想を織り交ぜたストーリーがあると解説します。

 

ヤノベケンジさん

 

「私たち人類が生まれる、そのはるか昔、地球に生命をもたらしたのは何者なのかという、非常にミステリアスで壮大な物語が込められています。宇宙から《太陽の塔》のような形をした宇宙船が宇宙猫ともにやってきて、この美しい地球に生命をもたらそうと生命の種を運んできた。宇宙猫たちは宇宙船から爆発的に飛び出して、原生生物から進化して人類に至るまで、たくさんの絶滅の危機にさらされながらも、頑張って生命を育て上げていった。最終的に人類が現れた頃に、宇宙猫たちは疲れ果てて、バタバタと倒れていってしまう。宇宙船の燃料も切れて、宇宙に帰れなくなり、現在はその宇宙船の亡骸が《太陽の塔》として残っている、というストーリーです」(ヤノベさん)

死んでしまった宇宙猫たちは、天使のように天上界に上っていくとのこと。翼の生えた《SHIP’S CAT(Ultra Muse / Red)》は、そうして人類を育てて亡くなっていった宇宙猫に対するモニュメントである明かしました。

「感染症を乗り越えたり、戦争が起きたりといった現在の社会状況を、俯瞰的な眼差し、宇宙的な視点で見るということをメッセージとして持っている作品です」とヤノベさん。モニュメントはミステリアスに輝く緑の瞳で、静かに人々を見守っています。

また、ヤノベさんは、スケートリンクがまるで美術館のホワイト・キューブ(展示室)を見立てたように、設置した作品が非常に美しく映える空間になっていることに驚いたと、嬉しそうに語ります。

「GINZA SIXは商業施設でありながら、本当にアートとも馴染みのある、アートに対して理解のある空間として立ち現れて、アートの在り方、新しい見せ方を提示していただいているのではないかと思っております」(ヤノベさん)

 

なお、GINZA SIXの4階では「SHIP’S CAT」シリーズの《Spaceship “LUCA”》を、エントランスでは同じく《BIG CAT GIFT》をそれぞれ展示中。

 

ヤノベケンジ《Spaceship “LUCA”》2024年(展示は2025年夏(予定)まで)

 

《Spaceship “LUCA”》は、《BIG CAT BANG》に登場する宇宙船「LUCA号」の内観模型です。LUCA号とは、全地球生命の共通祖先である単細胞生物ルカ(LUCA、Last Universal Common Ancestor)から命名されたもの。内部には、宇宙猫が地球に撒いて着床させた生命の苗や、本物の隕石が入っています。この隕石は、北アフリカで採取されたアミノ酸が付着していたとされる炭素質コンドライトで、パンスペルミア説の元になったものなのだとか。

「もともとの《太陽の塔》の中に、地球上で生まれた生命が進化していく過程を模した《生命の樹》というモデルがあって、その構造を新しく蘇らせました」と話すヤノベさん。《生命の樹》は、作品を取り囲むように設置された螺旋階段を昇ることで進化の過程を追っていくという展示構成をしており、「ちょうど中央が巨大な吹き抜けになっているGINZA SIXの建物の構造とも重なりました」と続けました。

 

ヤノベケンジ《BIG CAT GIFT》2024年(展示は12月25日まで)

 

《BIG CAT GIFT》は、高さ3.5mほどあるスノードーム型のかわいらしいインスタレーションで、4色に切り替えるライトアップ演出が実施されるそうです。

「宇宙から生命が運ばれてきたという大きなテーマは、今回のGINZA SIXのHEAVENLY GIFTというコンセプトにもつながっています。多くの人に宇宙からの贈り物を届けたいという願いを、エントランスでわかりやすく理解していただきたいと考え、トナカイとサンタに扮した『SHIP’S CAT』がスノードームの中で楽し気にギフトを配っているというインスタレーションを展開しました」(ヤノベさん)

 

館内各所に設置されたクリスマスツリーにも宇宙猫たちがたくさん!

 

人々を見守り、幸福を届ける猫たちであふれ、高揚感と祝祭感に満ちた冬のGINZA SIX。スケートリンクを訪れた際は、GINZA SIXの建物をめぐりながら、宇宙猫のストーリーにもぜひ想いをはせてみてください。

 

 

■スケートリンク「Rooftop Star Skating Rink」開催概要
【期間】
2024年11月16日(土)〜 2024年1月26日(日) まで
【時間】
平日 14:00〜21:00、土日祝 11:00〜21:00 最終受付 20:30
※12月23日(月)~2025年1月3日(金)は土日祝扱い
※12月31日(火)は11:00〜18:00(最終受付17:30)、元旦は休業
【場所】
GINZA SIX ガーデン(屋上庭園)
【滑走料】
大人(高校生以上) 2,000円、 小人(中学生以下) 1,500円、付添料金300円
※貸靴料含む
※未就学児は保護者同伴
※3歳以下は滑走不可
【その他】
手袋は着用必須 (持参可。会場にて、大400円、小300円でも販売)
ヘルメットは貸出無料(10歳以下は着用必須)、その他プロテクターも無料貸出
【最大収容人数】
75名
【主催】
GINZA SIX
※荒天時など当日の天候により、営業時間や開催内容が予告なく変更・中止になる場合があります

 

※本記事の内容は取材時点のものです。最新の情報と異なる場合がありますので、施設公式サイト等でご確認ください。

 

 

 

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